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プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-ルーフ編-

自動車

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自動車ディーラーや中古車販売店で、車の買取りや下取りの時に、価格がいくらになるかを決めるために『査定』をおこないます。

車の『査定』は、車種や年式、走行距離といった情報の他に、実際の車がどのような状態になっているか確認をします。そのなかで最も重要視されているのが『修復歴(事故車)』です。

『修復歴』が有る車は『修復歴車』や『事故車』と呼ばれ、市場価値が1割~3割ほど下落します。自動車販売店等の査定士も、この『修復歴』の有無を、最も意識しながら査定をおこなっているくらい、重要なチェックポイントとなっています。

そんな重要な修復歴ですが、『ルーフ(屋根)』が交換されていた場合も修復歴になります。

外装パネルでもあり、骨格部位でもある、ややこしい部位ですので、詳しく解説します。

これから査定をする人」や「査定のことを知りたい人」、「中古車を購入して心配な人」や「車の購入予定がある人」などにも、知っておけば役に立つ修復歴発見方法をわかりやすく解説。

私は、15年以上車の査定を行っており、査定教育などをおこなった経験もあります。そんな私も重要だと感じることですので、是非最後までご覧ください。

関連記事▼その他の修復歴の確認方法についてはこちら▼

『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツは外装の確認から』

『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-フロント編-』

プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-リヤ部編-』

プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-サイド編-』

▼修復歴車についての記事はこちらを参考に▼

『修復歴車(事故車)を買ってはいけない理由!中古車選びに重要な知識』

修復歴とは骨格部位の損傷

修復歴とは、事故車と呼ばれることもあり、基本的に車の骨格部位に損傷や修理跡、交換跡などがある状態のことをいいます。

交通事故などで損傷した場合に限らず、何らかの理由により、外部、外装パネルを介して骨格部位が損傷をしたり、その修理跡がある場合に修復歴となります。ですから交通事故をに遭った場合でも、損傷が軽微で、骨格部位に影響がなければ、修復歴車に該当しません。

※事故に遭ったからと言って、必ずしも修復歴車(事故車)になるわけではありません

▼骨格部位(フレーム)についてはこちらを参考に

『車の骨格部位(フレーム)の名称。初心者にもわかりやすく解説!』

ルーフ(屋根)の修復歴の基準

JAAI(日本自動車査定協会)による修復歴の定義では、このようになっております。

下記の骨格部位に損傷、修理跡がある場合は、修復歴となります。ただし、骨格は溶接接合されている部位のみで、ネジ(ボルト)止めの部位は骨格には該当しません。

小さな損傷の大きさはカードサイズ(8.5cm×5.4cm)未満です。

主な骨格部位修復歴とする修復歴としない
ルーフ・交換されている
・ルーフ周囲のインナー部に凹み、
曲がり、修理跡がある
・ピラーから波及した凹み、
曲がり、修理跡がある
・インナー部の小さな損傷、修理跡
出典:一般財団法人 日本自動車査定協会/修復歴の判断基準より作成

こちらに記載されているような状態であれば、修復歴車になります。

修復歴とする場合

ルーフが交換されている

ルーフが交換されている場合は、修復歴となります。

屋根に落下物があり、大きく損傷した場合などは、ルーフ交換で修理することがあります。このようにルーフ単体で交換してしまった場合も、修復歴となります。

ルーフ周囲のインナー部に凹み、曲がり、修理跡がある

ルーフは外側にあるアウターパネルと内側にあるインナーパネルでルーフは造られています。

ルーフが交換されていなくても、ルーフやその周囲の内側にはインナーパネルがあり、そこに凹みや曲がり、修理跡があった場合にも修復歴となります。

ルーフにピラーから波及した凹み、曲がり、修理跡がある

ルーフ自体が直接衝突していなくても、側面などからの衝突でピラーが損傷し、その衝撃がピラーだけで留まらず、ルーフまで至ることにより、曲がりや凹みが生じた場合やその修理跡がある場合も修復歴となります

ルーフが修理されていても修復歴としない場合

ルーフ周囲のインナー部の小さな損傷、修理跡

「修復歴とする状態」では、ルーフ周囲のインナー部に凹み、曲がり、修理跡がある場合は修復歴になると説明しましたが、その損傷や修理跡が小さい損傷の場合は修復歴に該当しません。

※小さい損傷や修理跡の大きさはカードサイズ(8.5cm×5.4cm)未満です。

ルーフ外装の損傷や板金修理跡は修復歴としない

サイドメンバーやピラーなどの骨格部位では、損傷やその修理跡があった場合は、修復歴となりますが、ルーフの場合は、交換されていれば修復歴になりますが、ルーフ(インナー部ではない)に損傷や板金修理跡があっても、修復歴には該当しません。

オープンカーのルーフは修復歴としない

コンバーチブルやカブリオレと言われるオープンカーのルーフは、交換されていても修復歴としません。

オープンカーの幌などのルーフは、しっかりと固定されておらず、車の骨格として機能していないからです。

ルーフは「骨格部位」であり、「外装パネル」である

ルーフは、ピラーとつながっており、骨格部位として形成されています。ですから、交換されていたり、インナー部に損傷やその修理跡があれば、修復歴になります。

ただ、ルーフは、ドアやボンネット、フェンダーのように他の外装パネルと同じように外装にあるパネルでもあります。ですから、ルーフ外装に傷や凹みがあったり、その修理跡があっても修復歴として扱いません。

このように、他の骨格部位や他の外装パネルと違った判断が必要になるので、ルーフは判断が少しややこしいところでもあります。

ルーフの確認方法

ルーフ 2つの確認ポイント

  • ルーフの「接合部」
  • ルーフの「塗装跡」

ルーフの「接合部」を確認

ルーフの接合部はスポット溶接部やシーラー部があり、「フロントガラス側の接合部」「リヤガラス側の接合部」の確認をおこないます。

セダンタイプの場合、室内の天井内張の中を見ることで確認することができます。天井の内張の中といっても、内張を外すわけにわいかないのでフロントやリヤのガラス付近から内張の内側を覗き込むことで接合部(スポット溶接部)の状態を確認できます。

パネル交換などで打ち直したスポット溶接には、いくつかの特徴があります。

  • 形状…新車時からの状態のものは、丸い形がはっきりとわかりますが、形状がきれいでなく不自然な状態になる。
  • 溶接跡がない…溶接で接合し直す時に、丸い形が残らなかったりスポット溶接以外の溶接で接合したりすることがあり、溶接跡がないことがある。
  • コゲ跡…スポット溶接などの溶接により接合し直した時に溶接による黒いコゲ跡が残っていることがある
  • 小さな穴がある…スポット溶接部の中に小さな穴が空いていることがあります。これは、スポット溶接を打ち直した時の熱により空いた穴と考えられます。
  • ペーパー跡がある…スポット溶接により接合し直したことによりできた溶接の塊や突起ができます。それを、きれいにする為に磨くことでできたペーパー跡が残ります。

ワゴンタイプの場合は、バックドア取り付け付近にある、ルーフ接合部のシーラーの状態を見ることで、交換などかされてないか確認することができます。

接合部の状態を確認することでルーフパネルが交換されているか判断することができます。

前後の接合部が溶接しなおされていることなどがあれば、ルーフ交換されていると考えられます。

フロントガラス側の接合部

フロント ルーフ接合部(室内)

フロントガラス側の接合部は、フロントガラスとルーフパネルの取付け部付近にあります。

室内の天丼内張のフロントガラス付近をめくることで、接合部であるスポット溶接部を確認することができます。

※天丼内張がしっかり固定されている車もあるので、無理に外すと内張が損傷することもあるので注意してください。

スポット溶接部が正常であれば、丸い型をしていますが、「形が不自然なもの」や「溶接跡がないもの」、「小さな穴が空いているもの」、「コゲ跡やペーパー跡あるもの」は、スポット溶接をしなおしている可能性があります。その場合、ルーフが交換されていることがあるので注意して確認しましょう。

ルーフが交換されていなくても、スポット溶接部が上記の場合は、インナー部が修理されていると考えられるので修復歴に該当します。

リヤガラス側の接合部

セダンタイプの場合

セダンタイプの場合、リヤガラス側の接合部の確認方法は、フロントガラス側と同じように確認をおこないます。

室内の天丼内張をリヤガラス側からめくり、ルーフの接合部であるスポット溶接部の確認をします。

ワゴンタイプ(バックドアがある)の場合
リヤ ルーフ接合部(バックドアあり)

バックドアがあるワゴンタイプの場合は、バックドアを開けて、ルーフ付近の確認します。

バックドアを開け、荷室上部のウェザーストリップ付近に、「スポット溶接跡」があり、その状態を確認します。

ウェザーストリップを外すと、荷室の天井内張をめくることができ、内側のスポット溶接部やインナー部の確認をすることができます。

スポット溶接の打ち直しやインナー部の修理跡があれば、修復歴になりますので注意して確認をしてください。

それから、バックドアを開けたところの上部、ルーフ付近の接合部には、シーラーがあります。

ルーフ交換をする場合、修理工場等では、そのシーラーも新たにやり直しますので、シーラーの状態を確認することでも、ルーフ交換されているかの判断ができます。

パネル交換されているシーラーの特徴

「シーラー」は、主に「形」「色」、「硬さ」の状態を確認しましょう。

  • 「形」均一性が無く、細かったり太かったりと不揃いなことがある。
  • 「色」…交換されたパネルは、塗装を塗って仕上げ、車両に取付けるので、その塗装がシーラーにも塗られ、新車製造時の状態よりも「艶」がでることがある。
  • 「硬さ」…新車製造時のシーラーよりも、柔らかいものが多く、指や爪などで押すと、弾力があり、「プチッ」とした感触がある

ルーフモールより内側で交換される

車種や車の損傷具合によって違いがありますが、ルーフ交換をする場合、ルーフレールより内側でパネルの交換をおこなうこともあります。

ルーフ交換するパネルの位置

上記写真のように、ルーフモールがある車両は、ルーフモールの下にルーフパネル接合部があり、そこよりも内側のパネル(赤い点線で囲われているところ)でパネル交換をすることができます。

ですから、上記のような位置でルーフ交換をおこなった場合、ピラーなどがあるサイド部から確認をおこなっても、接合部が確認できず、ルーフ交換に気づかないこともあるので注意しましょう。

ルーフの「塗装跡」を確認

ルーフ表面の状態を確認し、板金修理パネル交換がされていないかを確認します。

板金修理の主な工程は、

  1. 凹んでいる場所などにパテを盛る
  2. サンドペーパーで磨くことで形を整える
  3. ボディーカラー等を塗り、仕上げる

この修理工程の中でパネル表面が、新車時とは違った状態に仕上る部分があるので、その状態を見つけ、「板金修理」「パネル交換」の判断をします。

板金修理、パネル交換時の塗装の特徴
板金修理、パネル交換修理
共通の特徴
板金修理の特徴
・パネル表面が波状に見える
・塗装に異物や気泡が混入している
・塗装の垂れがある
塗装不良による色の違いやムラがある
・パテをサンドペーパーで磨いた跡がある
・パテ不良による小さな窪みある
・パネルを叩いて修理した跡がある
・淵にマスキングテープ跡がある
パネル修理時の塗装の特徴

「板金修理」「パネル交換」などの修理がされた場合、上記のような状態が形跡として残ることがあります。このような状態が無いか、パネル表面を確認します。

板金修理された外装パネル表面の状態

上記写真は、板金修理されているパネルです。パテ処理不良により小さな穴がパネル表面に確認できます。板金修理の痕跡が様々な形で残ることがあるので、パネル表面の状態の確認が必要です。

ルーフは単体で修理されることがある

ルーフが「パネル交換」される場合や「板金修理」される場合は、事故などによる損傷だけでなく、雪などの落下物により損傷し、修理することもあります。

そのため、ルーフだけを修理することがあり、その場合、事故などによって損傷がおきやすい、フェンダーやドア、ボンネットなどの外装パネルは、異常がない為、修復歴のない車だと判断してしまうことがありますので注意が必要です。

ですから、ルーフの確認は、他の外装パネルとの関連性を考えずに、ルーフ単体としての確認必要になります。

まとめ

ルーフは、外装パネルでもあり、骨格部位でもある、ややこしい部位です。

『ルーフ(屋根)』が交換されていると修復歴になりますので注意が必要です。

交換などによるルーフの修復歴は、修復歴車の中では少ないですが、少ないからこそ見落としやすいので注意しましょう。

修復歴となる場合

  • 交換されている
  • ルーフ周囲のインナー部に凹み、曲がり、修理跡がある
  • ピラーから波及した凹み、曲がり、修理跡がある

ルーフが修理されていても修復歴としない場合

  • ルーフ周囲のインナー部の小さな損傷、修理跡
  • ルーフ外装の損傷や板金修理跡は修復歴としない
  • オープンカーのルーフは修復歴としない

ルーフの確認方法

ルーフの「接合部」を確認するポイント

  • ルーフの接合部を確認することで、交換されているかの判断をすることができる。
  • ルーフの「フロントガラス側の接合部」と「リヤガラス側の接合部」をしっかり確認する。
  • 「リヤガラス側の接合部」は、セダンタイプとワゴンタイプで確認の方法に違いがある。
  • 接合部は、「スポット溶接部」と「シーラー部」がある。

ルーフの「塗装跡」を確認するポイント

  • 「塗装跡」を確認することで「ルーフ交換」や「板金修理」を見つけることができる。
  • 「塗装跡」の特徴を確認し「ルーフ交換」と「板金修理」のどちらかを判断する。

ルーフは単体で交換されることがある

ルーフは、落下物等により損傷し、修理されることがあります。その場合、ルーフ単体で「パネル交換」「板金修理」される為、修理してあることに気づかないことがあるので注意しましょう。

他の外装パネルに何も異常がなくても、ルーフ単体で確認することが重要です。塗装状態などを確認し、修理してそうだと思ったら、「板金修理」や「パネル交換」がされている可能性があると思って確認しましょう。

関連記事▼その他の修復歴の確認方法についてはこちら▼

『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツは外装の確認から』

『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-フロント編-』

プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-リヤ部編-』

プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-サイド編-』

▼修復歴車についての記事はこちらを参考に▼

『修復歴車(事故車)を買ってはいけない理由!中古車選びに重要な知識』

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