修復歴車の購入を検討されている方は、ちょっと待ってください!
「修復歴車」のことをどのくらい知っていますか?
「修復歴車」は、「事故車」と呼ばれることもあり、市場価格が下がり、販売される場合にも通常の車より安く購入することができます。そのため、「安い」と言う理由で購入を検討される方も少なくはありません。
欲しいと思うクルマが、人気車であれば、なおさら購入を検討する方も多いでしょう。
ただ、修復歴車(事故車)には、危険なデメリットがいくつもあります。
この記事では、中古車選びで知っておきたい「修復歴車」のことを紹介しています。
クルマ選びをされている方だけでなく、車を乗るすべての方に知っておく必要があることなので、是非、最後までご覧ください。
▼修復歴ありのクルマのデメリットを動画でも解説しています▼
修復歴とは…
修復歴とは、主に車の骨格部位(フレーム)に損傷や修理跡がある車のことです。
つまり、車のボディの元となる骨格(フレーム)部に凹みや曲がりがあったり、損傷を修理した跡があると、その車は修復歴車となります。
どんなにきれいに修理していても、1度損傷していれば、修復歴車となります。
骨格ではない、外装であるドアやバンパーに、損傷や修理跡があっても、修復歴とはなりません。
▼骨格部位(フレーム)について詳しくはこちらをご覧ください▼
『車の骨格部位(フレーム)の名称。初心者にもわかりやすく解説!』
修復歴車は、事故車とも呼ばれます。
一般的に交通事故に遭った車は、
事故に遭った車 → 事故車 → 修復歴車
と考えられがちですが、実際は、事故に遭っても、車の骨格部位(フレーム)に損傷や修理跡がなければ、修復歴車ではないので、必ずしも『事故に遭った車 = 修復歴車』とは限りません。
ですから、事故に遭わなくても、車が何かしらの衝突や衝撃により骨格部位(フレーム)が損傷した場合は、修復歴車(事故車)となります。
修復歴車のデメリット
修復歴車を購入することで、いくつかのデメリットがあります。どのようなデメリットがあるか、しっかり知っておきましょう。
- 機能関係が故障している可能性がある
- ボディが歪んでいる可能性がある
- 認定中古車や長期保証の対象外になる
- 売却時に安くなる
- 気分的に良くない
機能関係が故障している可能性がある
車には、複雑な部品が多く使われています。その様々な部品が事故などの衝撃によって、破損する恐れがあります。
目に見える損傷であれば、損傷に気づくことができるので、車を復元する際に修理が行われますが、目に見えないような箇所は、修理されない可能性があります。修理時には、不具合がなかったとしても、修理が完了した後に不具合が発生することもあります。
特に、エンジンやミッション、精密機械である電子部品などは、衝撃によって、及ぼしている影響は修理の段階では確認が難しく、後になって不具合が生じることも少なくありません。
もしも、車の購入後に不具合が発生しても、修理費が自己負担になる可能性もあり、せっかく安く購入できても、それ以上に費用がかさむ可能性もあります。
フロント部の修復歴車は注意
特にフロント部の修復歴車は注意が必要です。
一般的な乗用車の多くは、フロント部にエンジンやミッションといった、機能関係部品が多くあります。ですから、フロント部に事故があり、衝撃を受けた場合に、それらの機能関係に不具合を与えている可能性がありますので、購入するときは、注意が必要です。
修復歴車を購入して、しばらく経ってから「エンジンチェックランプが点灯」し、エンジンの故障が見つかったケースなどもあります。
▼フロントの修復歴についてはこちらを参考に▼
『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-フロント編-』
ボディが歪んでいる可能性がある
車が事故によって、大きな損傷を受けた場合、修理をしてもボディに目に見えない歪みが生じている可能性があります。
もちろん、板金修理工場等では、車を元の状態に戻す為の修理をおこないますが、100%元通りにすることは、不可能です。
修理してもボディの小さな歪みまで直しきれず、車に不具合を及ぼすこともあります。
足回りに不具合が起きることも
修復歴車による足回りの不具合には、以下の様な事があります。
- タイヤが偏摩耗する
- 車が真っ直ぐに走らない
- タイヤハウスとタイヤが接触することがある
足回りは、タイヤが取り付けられている、車にとって重要な部位です。その足回りの部品を新しい部品に取換え、きれいに修理したとしても、それを取付けてあるインサイドパネル(骨格部位)が歪んでいれば、不具合が生じます。
上記の様な不具合は、実際に車に乗ってみないと気が付かないこともあります。試乗したとしても、簡単に気が付くものでもありません。
タイヤの偏摩耗に関しては、展示車に取付けられているタイヤが偏摩耗していれば、気づくこともありますが、新品のタイヤが取付けられている場合などは、購入後、何年も気が付かない可能性もあります。
修復歴車の中でも、特にサイド部やコーナー部の修復歴で足回り周辺の修理をしていることが多いので、購入を検討する場合は、注意が必要です。
▼タイヤの偏摩耗についてはこちらを参考に▼
『タイヤの偏摩耗8つの状態!内側、外側の減り方、原因と改善方法!』
▼サイド部の修復歴についてはこちらを参考に▼
『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-サイド編-』
雨漏りする可能性がある
リヤ部などのドア周辺での修復歴は、事故等によりボディに小さな歪みがあると、車が雨漏れする可能性があります。
事故等の衝撃でボディに歪みが生じると、ドアの建付けが悪くなり、ドアを閉めても密閉されず、隙間から雨漏れすることがあります。
修理直後は、ドアの密閉用のゴムである、ウェザーストリップも新しいため、少しぐらいの隙間なら埋めてくれますが、車を使用するうちに少しずつ、雨漏れを起こしてくることもあります。
私自身が見てきた車の中にも、リヤ部の修復歴でバックドアの建付けが悪くなり、雨漏れによって、車の後ろにあるスペアタイヤ格納部(リヤフロア)に水が溜まっていたことがありました。
ハイブリッド車の場合、リヤ部にリチウムイオン電池などがある為、特に注意が必要です。
▼リヤ部の修復歴についてはこちらを参考に▼
『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-リヤ部編-』
認定中古車や長期保証の対象外になる
自動車ディーラー(国産車・輸入車)では、販売する車に、「認定中古車」制度を設けています。
「認定中古車」は、一定の条件をクリアしている、上質な中古車を表しており、購入後、きめ細かな保証サービスや安心のサポートが受けられる各ディーラーの中古車ブランドです。
ただ、修復歴車は、ほとんどの場合で、「認定中古車」から除外されます。
延長保証や無料保証、ハイブリッド保証などの、中古車を購入する上で安心できる要素が多くあるので、それに該当しなくなるのは、デメリットになります。
意図しない不具合が起きる可能性のある修復歴車こそ、手厚い中古車保証が欲しいところでもありますが、販売店側も修復歴車を販売するリスクを、考慮した上での制度だと考えられます。
売却時に安くなる
修復歴車は、購入価格が安くなりますので、当然ですが売却時の査定価格も安くなります。場合によっては、買取を断られることもあるので注意が必要です。
中古車販売店は、修復歴車を売ることでリスクがあります。販売後にトラブルになることもありますし、中古車オークションに出品しても安い価格で取引されますので、一般的な中古車販売店では、人気車でない限り、修復歴車の買取(仕入れ)に積極的ではないこともあります。
ただ、「事故車」「廃車」を専門におこなっている買取業者に依頼することで、スムーズな買取ができるので、修復歴車の売却を考えている方は、専門店を検討されると良いでしょう。
▼事故車・廃車買取専門店について詳しくはこちらを参考に▼
『【廃車買取】「0円」の車も売れる!?おすすめ事故車、廃車買取業者8選を紹介!』
気分的に良くない
修復歴車(事故車)を購入して乗り続けることに、「あまり良い気持になれない方」もいます。
修復歴車(事故車)と聞いて、「もしかして事故で乗客が・・・」
などと、あまり良くない方へ、考えてしまう方もいるでしょう。
今の自動車の安全性を考えれば、車が乗客を守ってくれますので、事故に遭っていても、ほとんどの場合、軽症で済んでいることが多いので、そんな心配はいりません。乗客が重症になる様な事故なら、おそらく廃車になるぐらい、車の損傷が激しいと考えられます。
ただ、それでも修復歴車(事故車)は、気持ちの良いものではありません。
そういった、気持ちで乗り続けるのは、ストレスにもなりますので、気になる方は、修復歴車の購入は、やめておくことをおすすめします。
修復歴車のメリット
修復歴車の1番のメリットは、安く買えることです。
「修復歴の有る車」は、市場価格が下がります。中古車オークションなどでも、「修復歴の無い車」よりも安く取引されますので、仕入れ価格も低く、小売りをおこなう場合にも安い価格で販売されます。
あえて修復歴車が欲しいと思う方もいない為、修復歴車を売る為には、通常よりも価格を下げる必要もあります。そのため、「修復歴の有る車」は、「修復歴の無い車」に比べ、1~2割ほどやすくなります。
事故車を修理した板金修理工場も、基本的には、車を元の状態に戻そうと修理をおこなっていますので、外観がきれいに復元されており、一般の方が見ても、どこを修理したのか、わからないくらい、きれいに復元されている車もあります。
そういったこともあり、過去に事故を起こしていても、「きれいに修理されていること」や、「安く買えること」を理由に、欲しいと思う人もいます。
中古車選びの注意点
中古車を選ぶ時に、修復歴車を買ってしまわないように気を付けることをご紹介します。
- 車の詳細を確認する
- 修理されている箇所の確認
- お店の人も修復歴に気付かないことがある
- 車両状態証明書を参考にする
車の詳細を確認する
インターネットを利用して中古車を探すときには、車の詳細をしっかり確認しましょう。
ほとんどの車情報サイトでは、車の詳細の中で、「価格」や「年式」、「走行距離」と一緒に「修復歴の有無」が記載されています。そこをしっかり確認した上で、車の目星をつけていきます。
展示車などを見に行った場合にも、プライスボードの中に「修復歴の有無」が記載されていますので、確認しておきましょう。
ただ、プライスボードによっては、修復歴の情報が小さな文字で記載されていることや、お店によっては、しっかり記載されていないこともあります。注意して確認をしましょう。
詳細や車の状態について、お店の方に詳しく教えてもらうことも重要です。
修理されている箇所の確認
「修復歴なし」の車でも外装に修理した跡がないか確認をしましょう。
事故などに遭っても、骨格に損傷がなければ、修復歴車とならないこともあります。その場合でも、少なからず衝撃を受けていますので、機能関係などに何かしらの不具合が起こる可能性もあります。
そういった車も、修復歴車同様に選ばないようにすることで、購入後のトラブルを防げます。
外装に修理跡がある車をすべて避ける必要はありませんが、「修理跡の箇所が多い車」や「交換修理
跡の多い車」は、あまり選ばない方が無難です。
- 「修理跡の箇所が多い車」…衝突や自損による事故が多い可能性があると考えられる。
- 「交換修理跡の多い車」…外装の損傷が大きいと板金では修理できない為、交換修理を行います。その為、交換修理跡が多いと大きな衝突があった可能性があると考えられる。
販売店によっては、車両の状態を掲載しているところもあります。しっかり確認した上で購入を検討しましょう。車の状態がわからない場合などは、お店のスタッフに確認するといいでしょう。
▼外装の確認方法についてはこちら参考に▼
『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツは外装の確認から』
▼修復歴の確認方法についてはこちら▼
『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-フロント編-』
『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-リヤ部編-』
『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-サイド編-』
『プロが解説!車の査定ポイント。修復歴を見つけるコツ-ルーフ編-』
中古車店も修復歴に気付かないことがある
中古車販売店のスタッフの方でも、商品である展示車の修復歴に気が付かないこともあります。
中古車を展示するときに、車の状態を確認していますが、その時に「確認ミス」をすることもあります。
自動車販売店のスタッフだからと言って、必ずしも修復歴をしっかり確認できるとは限りません。中には、ほとんど車の査定ができない方もいます。
それから、中古車オークションで車を仕入れる時は、オークション会場で作成された「出品リスト」の内容を元に落札をおこないます。その「出品リスト」には、車の状態が記載されており、修復歴の有無についても記載されています。
中古車を販売するときに、その内容をそのまま掲載しているお店もありますので、オークション会場で修復歴の見落としがあれば、気が付かず「修復歴無し」として展示されることもありますので注意が必要です。
お店に確認は必要
それでも修復歴についての確認は必ずおこないましょう。
販売店は、中古車を販売するときに「修復歴が有る」ことを告知する必要があります。
その事実を販売店側が知らなかったとしても、修復歴車であった場合は、販売店側に責任が生じます。その場合、契約のキャンセルや値引きに応じなければいけません。
ですから、修復歴の有無についての確認を、お店の方や注文書などで確認しておくことで、もしも、購入後に修復歴が見つかったとしても、その補償についてをお店側にお話しすることができます。
車両状態証明書を参考にする
中古車販売店によっては、「車両状態証明書」を掲載しているお店もあります。
「車両状態証明書」とは、車の傷や凹み、修復歴の有無などが分かるように記載された証明書です。基本的には、資格も持った検査員によって検査され、証明書が作成されます。
この車両状態証明書が掲載されていれば、修復歴の有無だけでなく、外装の修理跡や傷、凹みといった状態まで確認できるので、車選びがしやすくなります。
「車両状態証明書」をインターネットで掲載しているお店もありますので、お店に行かなくても車の状態が確認できるのもメリットです。
車両状態証明書を掲載しているお店は、比較的安心できるお店が多いので、お店選びの参考にするのにもおすすめです。
▼「車両状態証明書」についてはこちらを参考に▼
それでも修復歴車の購入を検討するなら
それでも修復歴車の購入を検討したい方は、少なからずいると思います。
安く購入できることや、探していた中古車が修復歴だった場合などを理由に迷っている方もいることでしょう。
おすすめはできませんが、もしも、修復歴車を購入するのであれば、最低限以下のポイントに注意して購入を検討してください。
- 修復歴の箇所…車のどこに修復歴があるか
- 修理度合い…どのくらいの損傷を修理したのか
修復歴の箇所
修復歴の箇所によって、起きるかもしれない不具合が違ってきます。
- フロントに修復歴があれば、エンジンやミッションに不具合が起きるかもしれません。
- リヤに修復歴があれば、バックドアから雨漏れするかもしれません。
- タイヤ付近に修復歴があれば、車が真っ直ぐ走らなかったり、タイヤが偏摩耗することもあります。
そういったことを、ある程度知ったうえで検討することが需要です。
修理度合い
修理度合いによって、事故でどれくらいの損傷があったか、推測することができます。
例えば、ドアに板金修理跡があった場合より、ドアを交換修理している方が、事故による損傷が大きかったと考えられます。
骨格部位においても、トランクフロアの板金修理より、トランクフロアを交換修理している方が損傷が大きかったと考えられます。
必ずしもそうとは限りませんが、このように事故の大きさを推測することができます。
損傷が大きかった場合の方が、事故の時の衝撃が強いので、見えない箇所や機能関係に不具合が起きる可能性があります。ですから、できるだけ損傷が小さい修復歴車を選んだ方が安全だと考えることができます。
個人的に修復歴車を買うなら
個人的に修復歴車を買うなら、「リヤ部の修復歴車」で「リヤフロアを少し板金修理している」ぐらいの軽微な修復歴車であれば、検討してもいいかなと思います。
リヤ部であれば、エンジンやミッションに損傷がある可能性は低いので、急にエンジンが止まるといった可能性も低くなるからです。リヤ部だと雨漏れなどのリスクはありますが、機能関係の不具合に比べるとまだ良い方だと思います。
ただ、ハイブリッド車だと、リヤ部にリチウムイオン電池などがある為、場合によっては、やめた方が良い場合もあります。
自動車保険の故障特約に入る
自動車保険の中には、自走不能になった故障車両の修理費を補償対象とする特約のある保険もあります。
損保ジャパンの自動車保険には「故障運搬時車両損害特約」と言う特約があります。
「故障運搬時車両損害特約」とは、保険契約している自動車が故障により走行不能となり、レッカーけん引された場合に、契約の自動車の故障損害に対して保険金が支払われる特約です。
契約している車が「初度登録から60か月経過している」ことや、「並行輸入車は対象外」であること、「車両保険金額または100万円のいずれか低い額を限度に保険金が支払われる」など、いくつか条件はありますが、自走できなくなるような故障が起きた時の為に備えることができます。
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修復歴車は、「安く買える」ことで、魅力的に感じられますが、デメリットがいくつもあります。
安心して車を乗る為にも、修復歴車を選ばないことが重要です。
修復歴車(事故車)のデメリット
- 機能関係に不具合を起こす可能性がある
- ボディが歪んでいる可能性がある
- 認定中古車や長期保証の対象外になる
- 売却時に安くなる
- 気分的に良くない
もちろん、修復歴車でない車でも不具合が起きる可能性はあります。
ただ、修復歴車は、その可能性が更に高くなります。できることなら修復歴車を選ばないようにする方が安心して運転することができます。
それでも、修復歴車の購入を検討したい方は、デメリットを押さえた上で検討してください。
修復歴車を選ばないようにする為のポイントも押さえておいてください。
- 車の詳細を確認する
- 修理されている箇所の確認
- お店の人も修復歴に気付かないことがある
- 車両状態証明書を参考にする
中古車選びは、インターネットなどで目星をつけた後は、「現車確認」や「お店の人に確認する」ことが重要です。その時に修復歴のこともしっかり確認しておきましょう。
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