普段あまり気にしないタイヤの残り溝や摩耗ですが、車検や点検などのタイミングで、「タイヤの残り溝が少なくなっています」と言われた経験はありませんか?
「まだ大丈夫、まだ大丈夫」と思っていても、タイヤは、車を使えば少しずつすり減る(摩耗する)、消耗品の1つです。
車が走れば走るほど、地面と接触しているタイヤは徐々に摩耗し、減っていきます。車の速度を上げたり、急ブレーキなどのブレーキ頻度が多くなれば、タイヤの摩耗スピードも速くなります。
車の使い方や、メンテナンスを怠るとタイヤが「編摩耗」することもあります。
私自身も、多くの車を見てきた中でメンテナンス不足の為、まだ使えるはずのタイヤがダメになったり、パンクしそうな危険なタイヤなどに直面したこともありました。
そこで、この記事ではタイヤの偏摩耗についての状態や原因を紹介します。
偏摩耗は、車の走行に危険なだけでなく、タイヤの寿命も短くなるので、できるだけ早く、改善が必要です。
この記事を読むことで、タイヤの偏摩耗を事前に防ぎ、タイヤを長く使えることで経済的で安全なカーライフに1歩近づくことができます。
ぜひ最後まで読んでください。
関連記事:『タイヤの役割や性能の意味を初心者にもわかりやすく解説!タイヤ選びに重要な知識!』
偏摩耗とは
タイヤは通常通り使用されれば、基本的には、タイヤの溝の減り方が均等に減っていきます。ですがタイヤのトレッド部(路面との接地面)が道路条件や使用条件、車の状態等により、部分的に異常な摩耗をする現象のことを『偏摩耗』と言います。
- トレッド部・・・タイヤと道路との接地面の部分
- サイドウォール部・・・タイヤ側面部分
- ショルダー部・・・サイドウォール部とトレッド部の間のタイヤの角の部分
タイヤの偏摩耗のデメリット
- タイヤの寿命が短くなる
- 走行に支障がでる(騒音や振動などが起こる)
- 危険性がある(バーストするなど、事故につながることがある)
タイヤの寿命が短くなる
タイヤの偏摩耗は、特定の個所だけ減りが早くなります。ほかの個所の溝が、しっかり残っていても、交換が必要になることもありますので、交換のタイミングが早くなってしまいます。
走行に支障がでる
タイヤの減りが均等なわけではないので、走行に支障が出やすいです。タイヤが特定の個所だけ溝が少ないと、走行中に騒音や車体の振動が起きることもあります。
危険性がある
特定の個所だけ摩耗が進んでいると、走行中に突如バーストが起き、事故につながることもあります。タイヤと地面の接触部によっては、カーブでスリップが起きることや、急停止時にしっかり止まれないこともあり、危険性が高くなります。
偏摩耗の種類
中心部摩耗(センター摩耗)
状態
タイヤのトレッド部(路面との接地面)の中心部が、早く摩耗している状態。
原因
空気圧が高過ぎることで、中心部摩耗は、起きやすくなります。
タイヤに空気を入れすぎると、タイヤの中心部が膨らんだ状態になり、中心部だけが路面に接しやすくなり、摩耗が進んでしまいます。
空気圧を規定値にすることで、改善されます。
両肩部摩耗
状態
タイヤのトレッド部(路面との接地面)の中心部に比べ、両端部の摩耗が進む状態。
原因
タイヤの空気圧不足や過積載などが考えられます。
タイヤの空気圧が不足していると、タイヤがつぶれた状態になり、中心部が路面と接しにくくなることで、両端部にばかり負荷がかかります。過積載でもタイヤがつぶれ、同じような状態になります。
空気圧を規定値にすることや過積載しないようにすることで、改善されます。
こちらの偏摩耗については動画でも紹介しています。
片べり摩耗(外側、内側摩耗)
状態
タイヤのトレッド部(路面との接地面)の片側だけ、摩耗が進んでいる状態。
原因
車の足回りの整備不良もしくは、アライメント不良が考えられます。
ローダウンを行った場合や事故等により足回りを修理した場合などにも、アライメント不良が起こることもあります。
具体的には、キャンバー角不良やトーイン・トーアウト不良により方べり摩耗が起きます。
キャンバー角
タイヤが車体に対して取り付けられている角度の1つに、キャンバー角があります。キャンバー角には、車を正面から見た時に、タイヤの上部が内側に傾くネガティブキャンバーと、タイヤ上部が外側に傾くポジティブキャンバーがあります。そのキャンバー角が大きすぎることで片べり摩耗を起こすことがあります。
トーイン・トーアウト
車体を上から見た時に、進行方向に対するタイヤの向きがハの字ならトーイン、逆ハの字ならトーアウトと言います。トーインが過大な場合やトーアウトの場合にも方べり摩耗を起こします。
基本的には、トーイン気味に調整されていることが多いです。
- ネガティブキャンバー、トーアウト → タイヤの内側摩耗
- ポジティブキャンバー、トーイン → タイヤの外側摩耗
整備工場などで、アライメント調整などを行うことで改善されます。
トーイン、トーアウト摩耗(羽状摩耗)
状態
タイヤの内側に向けて、もしくは外側に向けて、羽根状に摩耗している状態。
- 内側に向けて、羽根状に摩耗している状態をトーイン摩耗と言います。
- 外側に向けて、羽根状に摩耗している状態をトーアウト摩耗と言います。
原因
足回りのアライメント不良やトーイン調整不良が考えられます。
タイロッドなどのトーイン調整するパーツの損傷なども考えられます。
内側から外側に向けて羽根状に摩耗している
車を上から見た時に、進行方向に対するタイヤの向きがハの字になっている状態をトーインと言います。そのトーインが過大になると、タイヤの外側から内側に向けて、摩耗するのでトーイン摩耗になります。
外側から内側に向けて羽根状に摩耗している
車を上から見た時に、進行方向に対するタイヤの向きが逆ハの字になっている状態をトー アウトと言います。トーアウトになると、タイヤの内側から外側に向けて、摩耗するのでトーアウト摩耗と言います。
整備工場などで、修理、アライメント調整などを行うことで改善されます。
皿状摩耗(スポット摩耗)
状態
タイヤのトレッド部(路面との接地面)に数か所、局部的(皿状)に摩耗している状態。
走行中に一定周期で、タイヤから振動や異音が起こることもあります。
原因
ホイールバランス不良、ベアリング不良、ブレーキ・ドラムの偏心、急ハンドルや急ブレーキ等の操作をした場合などに起こります。
スピードが出ている状態から、急ブレーキをかけてタイヤがロックし数メートル進んむことで起こることもあります。
急ブレーキなどの操作による原因が考えられない場合は、整備工場で点検してもらう必要があります。
波状摩耗
状態
タイヤのトレッド部(路面との接地面)に波状の摩耗が起きている状態。
原因
主な原因は、ホイールバランス不良、ホイールベアリングのがた、ホイールアライメント不良によって起こります。
トーイン調整やキャンバー調整などが不適切な場合やタイヤの空気圧不良により起こる場合もあります。
整備工場などで点検してもらう必要があります。
ヒール&トゥー摩耗(のこぎり歯摩耗)
状態
タイヤの円周方向に、のこぎりの歯に似た摩耗が生じている状態。
ブロックパターンタイヤ、乗り心地を重視したタイヤやスタッドレスタイヤなどのブロック形状のタイヤによく見られる現象です。
原因
フロントタイヤに起こりやすい現象で、タイヤローテーションしないで使用し続けることや空気圧不足でも起こります。その他のも、ホイールバランス不良やアライメント不良で起こることもあります。
タイヤの回転方向が決まっているタイヤは、のこぎり歯摩耗が起きやすく、改善しにくいので注意が必要です。
タイヤのローテーションを定期的に行い、空気圧も定期的に調整することで改善されます。
ピット状摩耗
状態
タイヤの全周にわたり窪み上に摩耗している状態。
原因
主にホイールバランス不良やホイールの損傷が原因と考えられます。ホイールバランスが大きく狂っていると、タイヤへの負荷が特定の個所にかかりやすくなり、このような摩耗を起こします。
アライメント不良により起こることもあります。
ホイールバランスの調整をすることで改善されます。
タイヤに重要なメンテナンス
タイヤの偏摩耗を防ぐには、定期的なメンテナンスが必要です。そのメンテナンスンは主に2つあります。
- タイヤローテーション
- 空気圧調整
この2つを定期的に行うことでタイヤの偏摩耗を防ぎ、長持ちさせることができます。
タイヤローテーション
タイヤローテーションは、車のタイヤを定期的に位置交換する作業です。通常、前輪と後輪のタイヤの位置を入れ替えることで、タイヤの偏摩耗を均一にすることができます。ローテーションは、特定のタイヤが同じ位置に長時間置かれることによる偏摩耗を防ぎ、タイヤの寿命を延ばす助けになります。
ローテーションの頻度は車種やタイヤのタイプによって異なりますが、一般的には半年に一度か、タイヤの摩耗状況に応じて適切なタイミングで行うことが推奨されます。
冬にスタッドレスタイヤなどに交換する地域であれば、「ノーマルタイヤ⇄スタッドレスタイヤ」に交換する時期にタイヤローテーションを行うのも、一つの方法です。
タイヤローテーションについては動画でも紹介!
空気圧調整
適切な空気圧はタイヤの寿命と燃費に直接影響を与える重要な要素です。タイヤが適切な空気圧でないと、不均一な摩耗が発生し、タイヤの寿命が短くなる可能性があります。また、適切な空気圧は車の安定性やブレーキ性能にも影響を与えます。
車のメーカーや車種、タイヤの仕様に基づいて、適切な空気圧を定期的にチェックし、必要に応じて調整することが重要です。
標準タイヤの推奨空気圧は、フロントドアを開けたところにあるセンターピラーや、給油口の内側などに記載されています。
あとがき
タイヤのメンテナンスは重要です。
放っておくと危険なことになる可能性もありますので、ここで紹介したような現象がある場合は、整備工場などで見てもらうことをおすすめします。
日頃から空気圧やタイヤの状態を確認し、定期的にタイヤのローテーションをすることで、防げる現象もあります。しっかりメンテナンスをして、タイヤを長持ちさせましょう。
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