車には、パンクした場合の緊急時の備えとして、「パンク修理キット」もしくは「スペアタイヤ」が常備されています。
その「パンク修理キット」を使ったことはありますか?
おそらく使ったことがある方は、少ないと思います。
外出先でパンクした場合などの緊急時に備えておくためにも「パンク修理キットの使い方」を知っておくことはとても重要です。
事前に知っておけば、もしもの時に安心して対処できます。
更に、この「パンク修理キット」は、パンクしたとき以外にも便利に使える方法があります。
「緊急時にしか使用できない」と思っている方や、そもそも「パンク修理キット」がどんなものか知らない人も多くいます。そんな方にも知っておくと便利な活用方法です。
その便利な使い方も紹介したいと思いますので、是非、参考にしてください。
パンク修理キットとは
その名の通り、タイヤがパンクした時に、応急的にタイヤを修理し、ある程度の距離を走行できるようにする為の道具です。
タイヤのトレッド部(路面と接触面)に釘やネジなどが刺さった場合などのパンクを修理することができます。
それから、パンク修理キットは、タイヤのパンクを完全に修理できるわけではありません。
パンク修理キットでタイヤを修理したとしても、できるだけ早く整備工場などのパンク修理ができる施設に行くことが重要です。
車に備えてあるパンク修理キットの修理剤は1本です。1本の修理剤でタイヤ1本分のパンクを修理することしかできません。
複数のタイヤがパンクしても、修理できるのは1本だけなので注意してください。
2本以上のタイヤがパンクしたり、すでにパンク修理キットを使用した状態で更に、タイヤがパンクした場合などは、JAFなどのロードサービスに連絡することをおすすめします。
パンク修理キットの使い方
パンク修理キットは、タイヤのトレッド部(路面と接触面)に釘やネジなどが刺さった場合などの軽度なパンクを応急修理する為の道具です。
タイヤのトレッド部(路面との接地面)以外の場所が損傷してパンクした場合やタイヤとホイールが外れてしまっている場合などのパンクには、使用できないので注意してください。
※パンク修理キットを使用する場合は、車に乗せてある取扱説明書を事前に確認しておいてください。(メーカーによって、修理キットの使い方が異なることもあります。)
「パンク修理キットの使い方」主な流れ
- 車を安全な場所に停止する。
- パンク修理キットを取り出す。
- タイヤのバルブコアを外す。
- 修理剤をタイヤに注入する。
- タイヤにバルブコアを取り付ける
- コンプレッサーで空気を入れる。
- 速度制限シールを貼る。
1.車を安全な場所に停止する
- 車を安全な場所で停止します。地面が固く平らな場所を選びましょう。
- シフトポジションを「P」にする。
- パーキングブレーキ(サイドブレーキ)をかける。
- エンジンスイッチをOFFにする。
- 道路などの場合は、非常点滅表示灯(ハザードランプ)を点滅させる。
- 持っている場合は、停止表示板もしくは停止表示灯を置く。
2.パンク修理キットを取り出す
- パンク修理キットを格納場所から取り出します。多くの場合は、ラゲッジルーム(トランク、荷室)の下にパンク修理キットが備えられています。
車によっては、ラゲッジルーム(荷室)側面、シート下などに格納されている場合があります。
わからない場合は、取扱説明書を確認してください。
パンク修理キットは、「エアコンプレッサー(空気入れ)」、「修理剤ボトル」、「注入ホース」、「バルブコア回し」などで構成されており、一緒に格納されています。
※修理剤ボトルには、有効期限が記載されていますので確認をしてから使用します。
3.タイヤのバルブコアを外す
1.パンクしたタイヤのバルブキャップを外します。
2.「バルブコア回し」の後ろをバルブ内のバルブコアに押し当て、タイヤの空気を抜きます。
3.空気を抜いたら「バルブコア回し」を使い、バルブの中にあるバルブコアを取り外します。
「バルブコア回し」でバルブコアを取り外すときに空気が残っているとバルブコアが飛び出す可能性があるので注意してください。
4.修理剤をタイヤに注入する
1.修理剤ボトルを良く振り、キャップを外します。
2.内ぶたを外し、注入ホースを回しつけます。
(メーカーによっては、内ぶたが付いていても、そのまま注入ホースを回し付けれる場合もあります。)
3.注入ホースをバルブに差し込みます。
4.注入ボトルをさかさまにして、修理剤をすべてタイヤ内に入れます。
※パンク修理キットの種類には、コンプレッサーを使って修理剤を注入する修理キットもあります。
5.タイヤにバルブコアを取り付ける
- 注入剤をすべてタイヤに入れたら、バルブコアを「バルブコア回し」を使って回し付けます。
- バルブコアのネジが固くなるまで「バルブコア回し」で回し続けます。
- メーカによっては、「パンク修理キット」の中に予備のバルブコアが付属している場合もあります。
- 修理剤ボトルの注入ホースから修理剤が漏れてくることがあるので、注入ホースの先に「バルブコア回し」を差し込んでおいたり、ビニール袋などに入れておくと良いです。
6.コンプレッサーで空気を入れる
1.コンプレッサーのエア注入ホースをタイヤのバルブに回しつけます。
2.コンプレッサーから電源プラグを取り出します。
3.車内の電源ソケットに電源プラグを差し込みます。
4.パワースイッチ(エンジンスイッチ)をACCにします。
5.コンプレッサーの電源をONにし、指定空気圧になるまで待ちます。
(指定空気圧は、運転席ピラー部などに記載されています。)
6.空気の注入が終わったら、エア注入ホースを取り外し、バルブキャップを取り付けます。
7.速度制限シールを貼る
- 速度制御シールを取り出し、運転席周辺の運転者が見える位置に貼ります。
速度制御シールは、運転者にパンクしていることにより、「この車は速度制限がある」と言うことを知らせるためのシールです。
速度制御シールは、メーターパネルや視界の妨げになる場所、ハンドル中央などのSRSエアバッグのある場所などには、貼らないようにします。
修理後の走行時の注意点
- 80㎞/h以下で走行を行い、10分間または5㎞走行します。
- 走行後、空気圧が下がっているかを確認します。エアコンプレッサーをバルブに取り付け、コンプレッサーの空気圧計で空気圧を確認します。
- 空気圧が低下している場合は、再度空気を注入します。
- すみやかに近くの自動車店、修理工場などに行き、タイヤ修理をおこないます。
- 空気を注入しても低い空気圧しか維持できない場合(空気圧が高くならない場合)は、応急修理できない可能性があります。危険ですので、JAFなどのロードサービスを呼びましょう。
パンク修理キットの注意点
パンク修理キットを使う時にいくつか注意点があります。事前に知っておけば、備えることができますので、参考にしてください。
パンク修理キットを使うのは、初めての方もいると思います。
なれない作業だと思いますので注意して行ってください。
パンク修理キット使用時 5つ注意点
- 車の取扱説明書の確認。
- タイヤに刺さっている釘はぬかない。
- 5分以上空気を送り込んでも空気圧が上がらない場合は注意
- 修理剤の有効期限を確認する
- 修理剤を使ったタイヤは再使用できないことも
取扱説明書を確認する
パンク修理キットを使用するときは、車検証入れなどに常備されている、車の取扱説明書を必ず確認してから作業をしてください。
取扱説明書には、その車の「パンク修理キットの使い方」や「修理キットの格納場所」が記載されています。
メーカーや車によって、使い方が違う可能性がありますので、確認した上で作業を行います。
タイヤに刺さっている釘は抜かない
応急用のパンク修理キットでは、タイヤに刺さっている釘やビスなどは、抜かずにパンク修理を行います。
パンクの原因で、釘やビスなどが刺さっている場合があります。だからと言って抜いてはいけません。
釘やビスをタイヤから抜いてしまうと、大きな穴が開いてしまいます。
そうすると応急用のパンク修理キットでは穴がふさげず、修理できない可能性がありますので注意しましょう。
5分以上空気を送り込んでも空気圧が上がらない場合は注意
修理剤を注入した後に、コンプレッサーで5分以上空気を送り込んでも空気圧が上がらない場合は、修理できない可能性があります。
空気圧が上がらないのは、パンクした穴がふさげていない可能性があります。
パンクの原因である穴が大きすぎると、応急用の修理剤ではふさぎきれないので、パンク修理ができません。
それから、エアコンプレッサーを10分以上連続で使用するのは、やめましょう。
コンプレッサーが壊れる可能性があります。コンプレッサーを使う時は、時々電源をOFFにし、休ませながら使用します。
修理剤の有効期限を確認する
修理剤をタイヤに注入する前に、必ず修理剤の有効期限を確認してから作業を行います。
修理剤には有効期限があります。
有効期限が切れてしまった修理剤では、パンク修理を正常に行えない可能性がありますので注意してください。
基本的には、車検整備時などに確認を行い、次回車検までに有効期限が切れるようなら交換をしますが、「整備時の確認し忘れ」や、「整備時点では有効期限が過ぎてない」などに理由で交換が行われないことがあります。
もしもの時の為に、事前に確認して備えておけば安心できます。
修理剤を使ったタイヤは再使用できないことも
パンク修理キットの修理剤を使用したタイヤは、通常、再使用が難しくなります。このキットは緊急時に有用ですが、注意が必要です。
しかし、修理キットを使う前に、パンクの状態が確認できる場合は、エアコンプレッサーだけを活用して、空気をこまめに「点検」「補充」しながら整備工場や自動車店に向かう方法もあります。
さらに、刺さった釘は絶対に抜いてはいけません。釘や異物が刺さったままの場合、空気が徐々に抜けていくため、こまめな空気補充で一時的な走行も可能です。修理剤を使わずに整備工場でパンク修理を行えば、タイヤの再利用も視野に入れることができます。車のトラブルに備え、必要な知識を身につけましょう。
※パンクの判断は、難しいこともあります。パンクしたタイヤで走行するのは、危険な場合もありますので、注意して走行してください。
▼こちらの動画も参考にしてください▼
修理できないパンクがある
修理キットで修理を行えるのはタイヤの接地面に釘などが刺さってパンクしたものに限られます。
下記の様な状態では修理することができません。
- 大きな穴や切り傷がある
- タイヤサイド部が損傷している
- タイヤがホイールのリムから外れている、リム部が損傷している
- タイヤがバーストしている
- ホイールやバルブに問題がある
このような場合は応急修理できないので注意してください。
ホイール リムとは
ホイールの外周部分でタイヤと重なる部分のことを指します。
正確には、ホイール外周部分の内側の部分になる為、タイヤを取付けた状態では、タイヤに覆われているので、通常の状態では隠れて見えません。
パンク修理キットの便利な使い方
緊急時に使用するタイヤの「パンク修理キット」ですが、普段から便利に活用する方法があります。
それは、「空気入れとして使うこと」です。
上記の「パンク修理キットの使い方」で説明した通り、エアコンプレッサーは、車のシガーソケットから、電源を得ることで、空気入れとして使うことができます。
車のタイヤの空気を入れる時、ガソリンスタンドに行ったりして確認していませんか?
車のタイヤの空気は、ガソリンスタンドやカー用品店、クルマ屋さんでメンテナンスをするのが一般的なイメージですが、「パンク修理キット」のエアコンプレッサーを使えば、いつでもどこでも空気圧のメンテナンスが行えます。
「空気圧計」も付いているので、バルブに注入ホースを取り付けるだけで、現在の空気圧も測定できます。
こんなときに便利!
- スタッドレスタイヤやノーマルタイヤに交換したとき
- 車で長距離運転するとき
- 高速道路を運転するとき
- 外出先でタイヤのメンテナンスをするとき
- 日常的なタイヤのメンテナンスをするとき
雪が降る地域では、冬にスタッドレスタイヤへの交換をおこなう時期には、ガソリンスタンドの「タイヤ空気入れコーナー」は行列がつくこともあります。
ですが、自宅で空気圧のメンテナンスができれば、時間も手間もかからないのでとても便利です。
▼パンク修理キットの便利な活用方法は動画でも紹介しています▼
おすすめのパンク修理キット
車に備え付けられているパンク修理キット以外にも、一般的に販売されている修理キットもあります。
コンプレッサーのホースをタイヤのバルブに取付けてスイッチを入れるだけのオートマチックタイプの修理キットもあり、なれない方でも安心して扱えます。
車にパンク修理キットが標準装備されていない方も、備えておくと安心です。
SLIME(スライム) パンク修理キット スマートリペア
ホンダ、GM、フィアットグループなど、大手自動車メーカーの純正品にも採用されているパンク修理キットです。
タイヤを外したり、ジャッキアップ不要で修理が可能なパンク修理キット。
水溶性、非毒性、不燃性の繊維、結合剤、ポリマーを配合して、タイヤの遠心力を利用し、穴が空いている領域を探し出し、しっかりと塞いでくれます。
一般的な修理キットと同じように使えるので、作業は難しくありません。
SLIME パンク修理キット セーフティスペアオートマチック
SLIME(スライム)パンク修理キットのオートマチックタイプです。
タイヤを外すことなくパンク修理可能で、修理剤の注入とエアー充填の作業が一度に行なえます。
コンプレッサーのホースをボトル先端のバルブに繋ぐと、空気圧の力を用いて自動的にボトル内の修理剤がタイヤ内に送りこまれます。
その後は、コンプレッサーで空気圧の調整を行えば修理完了。
オートマチックタイプは、コンプレッサーの力で修理剤をタイヤ内に送り込んでくれるので、作業の手間がはぶけます。
緊急時の為に備えよう
パンク修理は、状況によって道路の片隅で行わなくてはいけないこともあります。
道路での作業は、車が通る為、とても危険です。
夜間であれば、なおさら危険です。
そんな時の為に停止表示板などを使って、危険を防ぐことが重要です。
停止表示板は、パンクトラブルだけでなく、高速道路などの車両トラブルがあった時にも、必ず役に立つので事前に備えておくことをおすすめします。
それから、高速道路で駐停車する場合、三角停止版を表示しないと「故障車両表示義務違反」で罰せられます。
できれば、車一台に1つは常備しておきたいですね。
エマーソン 三角停止表示板
メーカー | エマーソン |
本体サイズ (収納時) | 幅418 × 奥行103 × 高さ40㎜ |
重量 | 1.5㎏ |
TSマーク 国家公安委員会認定品 | あり |
緊急時に後続車から見やすく、追突を防ぐことができる昼夜間兼用型の三角停止表示板です。
TSマーク(国家公安委員会認定品/型式認定番号:交f06-1)を取得している為、もしもの時も安心して使えます。
収納時も長細くコンパクトなサイズなのでラゲッジルーム(荷室)などの隅に常備しやすくなっています。
三角停止板&蛍光安全ベストセット
更に安全に作業できるように、蛍光安全ベストがセットになった商品も販売されています。
エーモン(amon)パープルセーバー
メーカー | エーモン |
本体サイズ (収納時) | 幅33 × 奥行65 × 高さ123㎜ |
重量 | 120g |
道路交通法施工規則適合 | あり |
三角表示板の代わりに使える停止表示灯です。
・高輝度LED:3W×3灯 ・視認距離:夜間 約800m/昼間 約300m
連続使用時間:約5時間(新品アルカリ乾電池使用時)
・使用電池:単4アルカリ乾電池×4本(別売)
防水カバー付で雨天時のトラブルにも対応でき、夜間やトンネルなどの暗い場所で、しっかり存在を知らせてくれます。
とてもコンパクトでバイクにも車載しやすいサイズですが、乾電池も常備しておく必要があるのがデメリットです。
JAF入会で「もしもの時」に備えておく
JAFは車のトラブルのロードサービスを行っており、会員であれば年中無休24時間365日、全て無料で対応してもらえます。
会員数が2,000万人以上で、自動車運転免許を持っている約4人に1人が加入しているサービスです。
JAF(日本自動車連盟)はこちらから。ロードサービスの例
- パンクした時。
- キーをとじ込めてしまった時。
- バッテリーが上がり
- タイヤチェーンの脱着。
- 燃料が切れてしまった時。
- 雪道、泥道などにハマった時。
- 事故・故障などがあって時
JAFの料金
1年分 | 1年分 クレジット払い | 2年分 | 3年分 | 5年分 | |
入会金 | 2,000円 | 1,500円 | 1,500円 | 1,000円 | 無料 |
年会費 | 4,000円 | 4,000円 | 8,000円 | 12,000円 | 20,000円 |
年会費は4,000円で、数年分をまとめて一括で支払うことで入会金がお得になります。
また、クレジットカードのオンライン入会で自動振替にしても入会金がお得になります。
様々なロードサービスを受けることができるので、入会しておけば、車での旅行や外出先で車にトラブルにあっても安心して対処できます。
ロードサービスだけじゃなく、会員証を持っていると全国に約47,000以上もあるJAF会員優待利用施設で割引やサービスを受けることができるのもメリットです。
まとめ
パンク修理キットの使い方を事前に知っておき、もしもの時の為に備えておくことが重要です。
パンク修理キットは、パンクを完全に修理できるわけではないですが、応急的に修理することができる道具です。
「パンク修理キット使い方の主な手順」
- 車を安全な場所に停止する。
- パンク修理キットを取り出す。
- タイヤのバルブコアを外す。
- 修理剤をタイヤに注入する。
- タイヤにバルブコアを取り付ける
- コンプレッサーで空気を入れる。
- 速度制限シールを貼る。
車の取扱説明書にも目を通しておきましょう。
パンク修理キットでは、修理できないパンクもありますので、注意してください。
その為にも、タイヤの状態をある程度、確認する必要があります。
パンク修理キットには、便利な活用方法もあります。
うまく使えば、タイヤのメンテナンスがしやすくなり、日頃の安全も確保できます。
是非、活用してみてください。
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