車にとってタイヤは、唯一地面と接触している重要なパーツです。
どんなにブレーキ性能の良い車でも、タイヤが悪ければ、止まれません。
どんなにコーナリング性能の良い車でも、タイヤが悪ければ、曲がれません。
当然のことですが、車が走るのも、止まるのも、曲がるのもタイヤがあるから実現しています。
そのタイヤの役割や用語、性能の意味について知っていますか?
タイヤ選びをするときに、「自分にどんな性能が必要か」、「用語や性能の意味が分からない」などで悩んだ経験はありませんか?
そこでこの記事では、タイヤの性能について解説しています。
タイヤには、たくさんの種類があり、「低燃費」、「ウェット性能」、「静粛性」、「乗り心地」などの性能の良し悪しによって、特徴が違ってきます。
その性能の意味について、初心者にもわかりやすく解説しますので、「タイヤ選び」などに役立ててください。
この記事を読めば、自分の求めているタイヤが見つけやすくなります。
是非、最後までご覧ください。
▼『タイヤの役割』と『タイヤの性能』を動画でも解説しています▼
タイヤの役割
まず、タイヤには大きく分けて4つの役割があります。
- 走る力・止まる力を路面に伝える
- 車両重量を支える
- 方向維持・方向転換をする
- 路面からの衝撃を軽減する
走る力・止まる力を路面に伝える
タイヤは、エンジンから伝わる「走る力」やブレーキを踏んだ時の「止まる力」を速やかに路面に伝え、クルマを動かしたり、止めたりしています。
どんなに高性能なエンジンでもタイヤが悪ければ、性能を発揮できません。
どんなに高性能なブレーキでもタイヤが悪ければ、車はすぐに止まりません。
このように、タイヤが路面と接していることで、エンジンの「走る力」やブレーキの「止まる力」をコントロールすることができます。
タイヤのグリップ力などによって、クルマの走り方や止まり方が違ってきますので、タイヤの性能は安全性に直結します。
車両重量を支える
タイヤは、車両や乗員、荷物などの重量を支える役割もしています。
乗用車の場合、クルマにかかるすべての重量を4本のタイヤで支えています。その為、重い荷物などで車が重くなれば、その分タイヤへの負担も大きくなります。
トラックなどの荷物を運ぶクルマでは、誤ったタイヤサイズ変更によって過荷重になり、タイヤが損傷するケースなどもある。
その為、タイヤには負荷能力を表す、ロードインデックス(load index)と言う指数があります。
ロードインデックス(LI)=負荷指数(荷重指数とも呼ぶ)
タイヤには負荷能力の上限が定められており、その基準内で使用することが必要となっています。
ロードインデックス(LI)は、下記画像の様にタイヤサイズと一緒にタイヤに表記されています。
表示例:タイヤサイズ 155/65R14 75Q
このタイヤの場合、ロードインデックス(LI)は75です。
LI75→負荷能力387kg
つまりタイヤ1本につき387kgまでの荷重に耐えて走行できます。
タイヤ4本で 387kg×4本=1,548kg荷重に耐えれます。
▼タイヤ表示等についてはこちらを参考に▼
車のメンテに重要!サイズの見方、製造年月や交換時期などタイヤ記載表示の意味を紹介!
方向維持・方向転換をする
クルマが真っ直ぐ走るのを維持してくれたり、方向転換をリードしてくれる役割があります。
クルマには直進安定性が必要です。
直進安定性とは、強風に煽られたり、路面の凸凹などの影響によるクルマのふらつきを抑え、安定してまっすぐ走ること。
この直進安定性は、路面と接地しているタイヤによって保たれています。
それから、カーブを曲がるときにハンドルを回してタイヤの進行方向を変えることで、車が曲がりますが、これもタイヤが路面と接地していることで実現しています。
溝がない場合など、タイヤが路面をとらえることができなければ、方向転換もできません。
タイヤのグリップ力などによって、クルマの走り方や曲がり方が違ってきますので、タイヤの性能は安全性に直結します。
路面からの衝撃を軽減する
路面の凹凸によって発生する衝撃をタイヤが吸収し、軽減してくれます。
衝撃吸収は、主にサスペンション(スプリングやショックアブソーバー)が軽減してくれていますが、路面からの衝撃は最初にタイヤに伝わり、タイヤが変形することでも衝撃を吸収しています。
その為、タイヤによって「乗り心地」が違ってきます。
ゴムやトレッドパターン、空気圧などにより衝撃吸収に違いがでますので、選ぶタイヤによって快適さにも影響がでます。
タイヤの主な8つの性能
タイヤには、クルマを乗る上で重要な8つの性能があります。
- 低燃費性能(転がり抵抗性能)
- ウェット性能
- ドライ性能
- 静粛性
- 乗り心地性能
- 耐摩耗性
- 操縦安定性
- 高速安定性
この性能の意味を解説します。
性能のバランスによって様々なタイヤが販売されており、クルマに求める走りによっては必要なタイヤが違ってきます。
性能や特徴の意味を知ることは、タイヤ選びにおいて重要なことであり、自分やクルマにとって必要なタイヤを見つけやすくなります。
低燃費性能(転がり抵抗性能)
低燃費性能とは、転がり抵抗性能とも言われ、タイヤの転がりやすさを表す性能のこと。
転がり抵抗係数によって等級分けなどがされており、転がり抵抗が少なければ少ないほどスムーズに転がるので車の燃費が良くなります。
低燃費性能(転がり抵抗性能)はグレーディングシステム(等級制度)で AAA~Cの5段階で表されています。
転がり抵抗係数(RRC) | 等級 | 低燃費タイヤ基準 |
---|---|---|
RRC≦6.5 | AAA | ○低燃費タイヤ |
6.6≦RRC≦7.7 | AA | ○低燃費タイヤ |
7.8≦RRC≦9.0 | A | ○低燃費タイヤ |
9.1≦RRC≦10.5 | B | ×該当しない |
10.6≦RRC≦12.0 | C | ×該当しない |
※最も抵抗が少ないものをAAAとして、AAA~Cまでで表示します。
低燃費性能(転がり抵抗性能)とウエットグリップ性能がそれぞれの一定以上の基準値を満たしているタイヤが「低燃費タイヤ(エコタイヤ)」として販売することを許されています。
※転がり抵抗係数が9.0以下(AAA~A)で、ウェットグリップ性能が110以上(a~d)のタイヤが低燃費タイヤとなります。
▼低燃費タイヤについて詳しくはこちらをご覧ください。▼
低燃費タイヤ(エコタイヤ)とは… 初心者にもわかりやすく解説!
ウェット性能
雨の日などで濡れた路面でのブレーキ時の止まりやすさや、コーナリングでの曲がりやすさを表す性能のこと。
濡れた路面では、水が邪魔をしてタイヤが路面をとらえることができなくなります。
ウェット性能が高いタイヤは、路面が濡れていてもタイヤが路面をとらえやすくなり、安全性が高まります。
ウェット性能には、2つの要素があります。
- ウェットグリップ性能
- 排水性
ウェットグリップ性能
濡れた路面でタイヤを路面に広く接地、定着させ滑りにくくする力のこと。
タイヤを低温に強く、柔らかいゴムにすることなどで、タイヤと路面を密着させ、ウェットグリップ性能を上げることができます。
ウェットグリップ性能はグレーディングシステム(等級制度)で a~dの4段階で表されています。
ウェットグリップ性能(G) | 等級 | 低燃費タイヤ基準 |
---|---|---|
155≦G | a | ○低燃費タイヤ |
140≦G≦154 | b | ○低燃費タイヤ |
125≦G≦139 | c | ○低燃費タイヤ |
110≦G≦124 | d | ○低燃費タイヤ |
※最も性能が高いものをaとして、a~dまでで表示します。
低燃費性能(転がり抵抗性能)とウエットグリップ性能がそれぞれの一定以上の基準値を満たしているタイヤが「低燃費タイヤ(エコタイヤ)」として販売することを許されています。
※転がり抵抗係数が9.0以下(AAA~A)で、ウェットグリップ性能が110以上(a~d)のタイヤが低燃費タイヤとなります。
排水性
排水性とは、タイヤと路面の接地部にある水をタイヤの溝を使って、取り除く力のこと。
タイヤの溝がなくなってくると排水性が悪くなり、タイヤが路面に接地する事が出来ずに水の上を走ってしまうハイドロプレーニング現象を起こします。
ハイドロプレーニング現象を起こすと、走行中の車は水の上を滑り、ハンドル操作や減速、ブレーキ操作が制御できなくなってしまい危険な状態になります。
それを防ぐためには、排水性の高いタイヤが必要です。
溝の多いタイヤほど排水性は上がりますが、接地面積が減ることでドライ性能が下がってしまいます。
溝のパターンによって、排水性やドライ性能が違ってくるのでバランスが重要です。
ドライ性能
乾いた路面でのブレーキ時の減速や止まりやすさ、コーナリングでの曲がりやすさを表す性能のこと。
摩擦抵抗の高い乾いた路面に対するグリップ性能で、タイヤの路面と接する「トレッド面の面積を広く取ること」や、「ゴムのコンパウンドを柔らかくすること(柔らかいタイヤにすること)」でドライグリップ性能は高まります。
溝の多いタイヤの場合、接地面積が少なくなることでドライ性能が下がることもあります。
▼こちらの記事も参考にどうぞ▼
『タイヤサイズの見方、製造年月やタイヤ記載表示の意味を紹介!』
スリックタイヤはドライ性能が高い
カーレースなどで使用されるスリックタイヤは、タイヤに溝がない為、路面とタイヤの接地面積が広くなり、滑りにくくなります。更に、タイヤ表面を摩擦熱で溶かし、路面とタイヤを粘着させることでも高いグリップ力を実現させています。
ただ、スリックタイヤは乾いた路面にしか使えません。溝がなく、排水性がない為、路面が濡れている場合には、使用することができません
※スリックタイヤは、レース専用タイヤの為、公道で使用することはできません。
静粛性
クルマの走行中にタイヤが路面と接することで発生する音(ロードノイズ)を抑える性能のこと。
音の好みは人によって個人差がある為、走行中のタイヤのロードノイズの感じ方は様々です。
人によっては、ロードノイズが大きいとストレスを感じたり、車の異常を疑う原因になることもあります。
その為、静粛性が高い(ノイズが小さい)方が快適に車内で過ごすことができるので、乗り心地につながる性能でもあります。
乗り心地性能
走行中に路面から受ける衝撃や振動を軽減する性能のこと。
走行中は路面の凹凸による衝撃やタイヤが回転することによる、振動がタイヤを介して車台に伝わります。
クルマは、ショックアブソーバーやスプリングによって、路面からの衝撃や振動を軽減し、乗り心地を保っていますが、路面からの衝撃や振動を最初に受けているタイヤの性能によっても、乗り心地が左右されます。
衝撃や振動は、乗り心地性能の高いタイヤを装着することで軽減することができます。
「タイヤを替えただけで乗り心地が変わるの?」
と、考える人もいると思いますが、乗り心地性能の高いコンフォートタイヤなどに変えた場合、体感できるほど変化することもあります。
耐摩耗性
タイヤの耐摩耗性能のこと、溝の減りにくさを表す性能のこと。
車が長い時間、長い距離を走れば走るほど、タイヤは摩耗し少しずつ削れて行きます。
ブレーキ操作やコーナリング時にもタイヤと路面に摩擦が起き、タイヤは削れていきます。
このように、車を走らせている以上タイヤは摩耗し減っていきますが、その摩耗を少なくしタイヤの寿命を長くする性能を耐摩耗性と言います。
タイヤは、一般的に耐摩耗性の高いタイヤほど、減りにくく長持ちしますが、グリップ力の高いタイヤほど耐摩耗性が低い傾向にあります。
つまり、「耐摩耗性」と「グリップ力」は相反する傾向にあります。
耐摩耗性はTreadwear(トレッドウェア)と言われる数値化した基準で図られます。
Treadwearの基準値は「100」でTreadwearが「200」の場合、基準値の2倍長持ちすることを表します。
- 一般的なエコタイヤ…Treadwear350~700
- ハイグリップタイヤ(スポーツカー用)…Treadwear100~250
- モータースポーツ用(レース用)タイヤ…Treadwear100以下
このように、グリップ力が必要なタイヤほどトレッドウェアが低くなっていきます。
Treadwear(トレッドウェア)は、UTQG(Uniform Tyre Quality Grading)表示といい、アメリカで行われる統一タイヤ品質等級基準テストの1つでもあります。
UTQG表示は、アメリカ運輸省がアメリカ国内で販売されるすべての乗用車用タイヤに表示を義務づけているものです。
操縦安定性
ドライバーがクルマを意のままに操作することができ、クルマが安定した姿勢で、「走る」、「曲がる」、「止まる」ことが可能な性能のこと。
ドライバーが運転しているときに、的確な操作を行っていたとしても、タイヤの性能が低いと、加速時やコーナリング、ブレーキングなどが思うようにいかず、場合によっては危険なこともあります。
操作安定性が高いタイヤは、しっかり路面をとらえてくれる為、ドライバーの操作が的確に伝わりやすく、安定感のあるバランスの良いタイヤとなります。
高速安定性
クルマが高速走行時にタイヤが路面をしっかりとらえ、安定した走りをする性能のこと。
クルマを操作する場合、タイヤのトレッド部が路面に接地し、路面をしっかりとらえる必要がありますが、高速走行になればなるほど、タイヤが路面と接地する時間が短くなってしまいます。
タイヤと路面との接地時間が短くなれば、ハンドル操作がしにくくなったり、安定性にも影響がでます。
性能の高いタイヤの場合は、高速走行時にも路面をとらえることができる為、安定した走りをすることができます。
直進安定性
直進安定性とは、強風に煽られたり、路面の凸凹などの影響によるクルマのふらつきを抑え、安定してまっすぐ走ること。
高速走行時には、直進安定性も重要です。
高速走行時には、「タイヤと路面との接地時間が短くなる」ことや、横風や路面の影響を受けやすくなるので、安定性が失われやすくなります。その為、より直進安定性が必要とされます。
まとめ
タイヤの性能の意味を知ることで、クルマや自分にとって必要なタイヤが見つけやすくなります。
- 低燃費性能…低燃費性能とは、転がり抵抗性能とも言われ、タイヤの転がりやすさを表す性能
- ウェット性能…濡れた路面でのブレーキ時の止まりやすさや、コーナリングでの曲がりやすさを表す性能
- ドライ性能…乾いた路面でのブレーキ時の止まりやすさ、コーナリングでの曲がりやすさを表す性能
- 静粛性…クルマの走行中にタイヤが路面と接することで発生する音(ロードノイズ)を抑える性能
- 乗り心地性能…走行中に路面から受ける衝撃や振動を軽減する性能
- 耐摩耗性…タイヤの耐摩耗性能のこと、溝の減りにくさを表す性能
- 操縦安定性…クルマを意のままに操作することができ、クルマが安定した姿勢で、「走る」、「曲がる」、「止まる」ことが可能な性
- 高速安定性…クルマが高速走行時にタイヤが路面をしっかりとらえ、安定した走りをする性能
ここで紹介した8つの性能は、タイヤ性能の基本的な用語で、各メーカーのタイヤ紹介などで、良く目にすると思います。
この性能の意味を知っておけば、タイヤ選びの時に
「どんな特徴のタイヤなのか」
「どんな車や人に必要なタイヤなのか」
などが見えてくると思います。
それから、タイヤ選びは、安全性にも直結してきます。
どんなにブレーキ性能の良い車でも、タイヤが悪ければ、止まれません。
どんなにコーナリング性能の良い車でも、タイヤが悪ければ、曲がれません。
クルマと地面を繋いでいるタイヤは、とても重要なパーツです。
消耗品だからと言ってなんとなく選んではいけません。
自分や家族、クルマの為にも、性能を理解し、タイヤの特徴を知り、より良いタイヤ選びをしてください。
▼タイヤ選び 参考記事▼
『コンパクトカー(小型車)用 安くておすすめの低燃費タイヤ8選!』
【タイヤが安い】ネットならタイヤが安い!おすすめショップ紹介
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